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January 27, 2005 | 日本アニメの限界と臨界,プラネテス論。
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NHKのアニメ,プラネテスが終わりました。正確に言うとBS版ではとっくに終わってるんで,地上波の再放送が終わったわけですが。ぽた家はBSが見れないので,ぽた家的には今回ようやく,という感じ。ま,それはともかく,毎週ほとんど欠かさず見てしまいました。ぽた家的には非常にに珍しい。それほどぽた家(=ぽた郎&ぽた子)としては原作に惚れ込んだ,ということですが,アニメの最終回を見終わって,二人で異口同音,「くっだらねーっ!」・・・と絶句。ネット上で見る限りアニメの方も評価する方は多いようですが,ぽた家的には非常に不満が残るアニメでした。いや,ディテールなどはよくできてるんですけどね。なんだかんだ文句たれながらも毎回見ちゃいましたし,楽しんだのは事実ですが。それにしてもヒドい。最悪ですわ。というのがぽた子さんとぽた郎の共通の評価。・・・というわけで,なぜ世間では好評だったのに,ぽた子さんもぽた郎も酷評するのか,その辺を分析的に書いてみたいと思います。感想 impression じゃなくて,批評 criticism,のつもり。
■幸村誠:プラネテス,講談社モーニングコミックス,全4巻 (2001-2004).
■アニメ版 プラネテス 原作:幸村誠,脚本:大河内一楼,監督:谷口悟朗, 2003年,サンライズ/NHK).
ジャパニーメション Japanimation という和製英語が国際的にも認知されつつあるように,日本のアニメーションは日本の主要輸出品として,あるいは現代日本文化の代表として,胸を張って世界に紹介できるものだと言えよう。精緻な設計と製作工程は浮世絵にも譬えられるし,勧善懲悪に堕さない巧妙なストーリーや背景は日本の近代文学にも比肩するとも言われている。これはイギリスやフランスなど海外に行ってちょっとした大きな街の比較的大きな書店に入ると,それが実感できる。たいてい本棚1ハイから2ハイ,それ全体で大きなコーナーを形成している。なにしろ日本文学や日本のガイドブックよりも,そして自国のコミックスよりも遙かに大きなスペースを取って陳列されているのだから・・・。ともあれ,それほどまでに世界中からリスペクトされている我が国の「文化」であるが,ひとつだけ,弱点というか,文化としての限界があるにように私は思えてならない。
日本のアニメはジェンダーが個化されている。それが日本のアニメの最大の欠点であり,文化的限界でもあると言えよう。日本アニメに登場する女の子はすべからく「良妻賢母」に描写され,それを見て育つ女の子も男の子も,そうなるように,それがアタリマエのよう幼少から「教育」されるようにできているのだ。アニメの女性キャラは魅力的だったり共感的だったり,コケティッシュだったりエロティックだったり,様々なキャラクターが存在するも,その通奏低音はみな,男の子(あるいは男)にとって都合のよい女としてしか要求されないことが透けて見える。ある時は「夫」が支配しやすい貞淑で誠実な「妻」のイメージであるし,ある時は「息子」が安心して甘えることのできる無限に優しい「母」のイメージでもある。彼女たちは時として判断をし,主張をし,行動するが,それらは全て「男」にとって都合のよい範囲内で許可された行動様式でしかない。もちろんこれはそのアニメの制作者や監督があからさまに意図したことではないし,表面的にはそうでないメッセージを送っているものもある。しかし,アニメはマンガや小説と異なり,制作にあたって発生した莫大な金額を回収せねばならないためある程度商業的に成功させねばならず,自ずと「万人に受け入れられる」「売れる」ものを作らざるを得ない。そこに大衆の深層心理としての保守的なジェンダー観が働く落とし穴が待っているのではないだろうか。
「男にとって都合のいい女」・・・。例えば,「プラネテス」を例に取って,例証することは容易に可能である。特にメインキャラクターのうちの一人であるタナベの人物描写が原作のマンガとアニメとでは雲泥の差だ。原作ではタナベは「自らの意志を持つ女性」として描かれている。最終的には結婚することになるハチマキに対しては最後まで安っぽい恋愛表現は見せず,淡々と飄々と彼女自身の独自の価値観で生き,行動し,そしてハチマキを受け入れることを選択している。テロリスト・ハキムに対して本気で引き金を引こうとするハチマキを,熱烈なキスを以て阻止するのもタナベの確固たる意志であるし(そしてこの重要で象徴的なシーンがアニメ版には欠落している),ハチマキと結婚後も働く女として自立して宇宙で活躍している(この設定もアニメ版では割愛されている)。深い信頼関係で結れているものの,依存関係にはない,自立した者同士の対等な関係して描かれるタナベとハチマキ。それが原作のキイとなる人物設定であり,それが故にエンディングの「愛することだけは止められないんだ」いう一見クサいセリフが,クサくならずに成功する絶妙な伏線を張っていると言えるだろう。
一方,アニメ版で描かれるタナベはまさにステレオタイプ的キャラクターに堕している。原作より若干年齢設定が若く童顔に描かれたり,ハチマキとの子供じみた恋愛場面が登場するのはまだいい。しかし,「愛です!」を安売り連発し元気がよいだけで思慮が足りない「若い女の子」として描写されるあたりから強い違和感を覚えてくる。アニメ版タナベの行動原理はほとんどハチマキを中心にしか動かないし(依存性),原作では見られないオロオロ感やウジウジ感がそこここに描かれている(非自律性)。普段は明るく強がりだがいざというときには守ってあげなきゃと男に思わせる,男にとっては甚だ都合がよい典型的な性格(そしてそれは原作とはまったく逆)。極めつけが最終回の最後のシーン。なんと彼女は妊娠している。いや,セックスや妊娠が悪いわけでは決してないが,原作で重要なテーマであった精神的な「信頼関係」(=「愛」)が安易に「妊娠」という物理的なものに転嫁されちゃってよいの?とツッコミを入れたくなる。どうせ妊娠まで描くのであれば,出産後も一児の母としてバリバリ宇宙で働く(原作のフィーのような!)強い女性というところまで描いてもよさそうなのに,それをするつもりはないらしい。しかも妊娠中はハチマキの実家で家事手伝いとして暮らしているようで,2070年代という設定の割には昭和時代のような家族観。おいおい,本気でこれで終わりかよ・・・,とゲンナリしたまま見ていたら,ほんとに終わってしまった。なんというステレオタイプの見本のようなアニメ・・・。
アニメ版プラネテスのディテールを見れば,非常に良くできたすばらしい作品であることは一目瞭然である。原作を旨く補完する緻密なSF的背景,ギミックな小物,スケールの大きい政治的ストーリー展開・・・。文句を垂れつつも最終回まで毎週ほとんど欠かさずに見てしまった所以の魅力は確かに認めたい。しかし,だからこそ,秀逸な舞台設定の上に立つ杜撰で保守的なジェンダー観がどうしても鼻につくのだ。そして,せっかく原作でいきいきと描かれていた新しい世代の「自立した女性」が,各断片的シーンを巧妙に繋ぎ合わせながら無惨にも改竄されるのを見るのは,全くもって忍びない。もしかしたらアニメを見慣れた人たちはそれに気づかないのだろうか。幼少の砌からアニメを見て世の男と女はこういうものだと教えられて育ってきているのだとしたら・・・。それが誰も意図しない,そして我々日本人が払拭することのできない不気味な大衆の深層心理にほかならないのだ。
今世界をリードする文化的最先端の日本のアニメーション。その地下水脈に流れる前時代的思想は容易には払拭しがたい。日本のアニメはこれが限界なのか? その暗闇にメスを入れ,この殻を破るアニメが出てきて欲しい。文化的狭視観の限界を臨界に変えた時,日本のアニメは真の意味で無限の発展を遂げ,国際的に評価されるとになるであろう。その日が来るのを切に祈って止まない。
続きもあります。>>|
January 23, 2005 | 茶道楽で身上潰すのもよいね。
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この日記もいろいろ書きたいことはあれど,現実にかまけてまとまった時間がとれず,どれもまとまった文章にならん。ま,こういうときもあるか。しばらく文章が沈澱するまで待つしかないか。というわけで,とりあえずてっとりばやく書ける話題から。
前から欲しかった中国茶用の急須を買いました。いわゆる本場の茶泥の急須ではないけれど。東急ハンズで買った安物の急須です。でも急須も茶碗も小振りで中国茶には最適。今日はこれで武夷岩茶をちびちび飲んでます。日常の中の,敷居の低い小さな幸せ。これからは茶葉ごとに急須を揃えよう。台湾ではお茶に凝るとお茶ごとに茶器を揃えはじめて茶器を飾る棚を作ってそのための家を建てて・・・と茶道楽は身上を潰すと言われているそうですが,まあその野望(?)の小さい第一歩かな。(笑) 自転車でもオーディオでも道楽は身を滅ぼしますな。ああ,滅ぶまでどっぷり漬かってみたい今日この頃・・・。
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January 01, 2005 | 明けましておめでとうございます&方針変更
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みなさま,明けましておめでとうございます。
新年明けまして、ということで,れまでほったらかしにしてた「はてな」の日記 http://d.hatena.ne.jp/potterist/ をちょいと方針転換して,更新したいと思います。
これまで「あるちゅ〜のーと」「軟弱ポタリング日記」「形而上日記」とそれぞれのテーマで日記を複数使い分けてましたが,よう考えたら日々のつれづれなるままの小ネタを書くところがなかったことに気づきました・・・。(笑)
というわけで,上記の3つは相変わらず続けますが(ぽた郎自身の備忘録だから),はてなの方の日記はそれらをつなぐハブとして使いながら,日々の小ネタも書きつらねたいと思います。
・・・続くかな? ま,始めます。とりあえず。