August 22, 2005 | ギュスターヴ・モロー展,死と眩暈の色彩
フランス国旗の青・白・赤(トリコロール)は自由・平等・博愛を意味するが,ギュスターヴ・モローのトリコロールはさしずめ,死・性・血を象徴すると言えようか。モローの絵はそれほど,「死」のイメージに満ちている。青はくすめばくすむほど青ざめた精神や腐敗する死体を指し,冴えれば冴えるほど強力な毒をもつ鉱物を暗示する。赤はある時には煌びやかな虚飾の緞子(どんす)や宝石となり,ある時は文字通り首から滴り落ちるどす黒い血となる。そして,白は美しく理想化された裸体として象られるが,それは生き生きと躍動する肉体ではなく,裂けば赤い血が迸(ほとばし)りやがて青い腐敗が始まるのを約束された,儚くも美しい束の間としての「生=性」の容れ物に過ぎない・・・。例えば,「出現 L'Apparition」,あるいは「ケンタウロスに運ばれる死せる詩人 Poête mort porté par un centaure」を見よ。現実の生から一切目を背けた病んだ精神が生み出す閉じた幻想世界。「死」に彩られた過剰な色彩の世界は,我々の脳裏に焼き付いて容易に離れない。それが故に,我々はモローの織りなす宇宙に畏怖と眩暈を覚えずにいられないのだ,まるで美しい死神に魅入られたように。
【註】リンク先の画像は Bunkamura ザ・ミュージアム ギュスターヴ・モロー展のサイトの一部です。
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4. art & craft
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