May 03, 2004 | カンタータ全集雑感

さて,もろもろ諸事情でその場のナリユキで買っちまったバッハ全集160枚組ですが,そろそろ感想を書くことにします(なにせCD160枚1080曲あるんでまだ全部は聴き終わってませんが・・・(^^;)。 Brilliant Classicsなるあんまし聞いたことのないレーベルから出ているこのバッハ全集 ,まだまだマイナーなのか,ネットで検索してもなかなか情報を得ることができないんで,個人的評価にせよちゃんと情報提供しておいた方がいいですしね。買おうかどうか躊躇している方々のためにもね。(誰かとは言いませんが〜。(^^))

■BACH EDITION, Complete Works 160 CD BOX, Brilliant Classics(Joan Record), (p)+(c) 2001.

全集全体の評はまた別の機会にするとして,今回はとりあえずこの中に含まれているカンタータ全曲についての感想を述べてみることにします。演奏はすべて Pieter Jan Leusink 率いる Netheralnds Bach Collegium & Holland Boys Choir。このLeusinkについて,ぽた郎は全く知識がありませんでした(最近の演奏家については全然勉強不足なんで・・・。ぽた郎の知識は10年くらい古い。(^^; )。それでも思いきって買った理由のひとつが,Tower Recordのお店のおにーさんが「古楽器ですよ。演奏はまあまあ悪くはないですよ。」とひとこと。これでピーンと来ました。買ってみて聴いてみて結果は・・・,まったくその通り。さすが,Tower。売り場の店員さんはみんなマニアックでエライ。(^^)

Leusink & NBC の演奏はまさに「まあまあ悪くはない」のひとことに尽きます。確かに Leonhardt Consort や Bach Collegium Japan, English Baroque Soloists などに比べると演奏が若干粗い。特にBCJで手持ちの曲と直接比較すると差が歴然。これは致し方ないかも(ぽた郎はBCJびいき(^^))。NBCの演奏は何曲か続けて聴いていると,明らかにムラがあり好不調の波があります。しかしこれは,カンタータ全曲200曲をこれだけ短期間に(他の団体のように十数年に亘るシリーズではなく)レコーディングしまくるのだからしょうがないところでしょーか。年間140試合こなすプロ野球の試合のようなものだとお考え下さい。

とまあ若干の難点を述べてみましたが,全体としては非常に満足のできる演奏であるとぽた郎は思います。演奏スタイルは18世紀オーケストラを彷佛とさせるアーティキュレーションのキビキビした瑞々しい演奏で,多少のアラはどんとこいのダイナミックかつスピーディで好感の持てる雰囲気。恐らく(これはぽた郎の勝手な想像ですが)連日連夜のBach漬けのレコーディングでメンバー全員がトランス状態ハイテンションになりながらの演奏・・・ってな感じじゃないでしょうか(笑)。そういうイキのいい雰囲気が伝わってくる微笑ましい演奏だとも言えます。独唱陣もこれまたやはり若干のムラはあるものの,ヴィブラートをあまり多用しない透明感のある唱法。合唱団もヴィブラートを抑え,人数が多い割には濁らない爽やかさを出してるのはオランダ系としては希有なところ(ってのは偏見?(^^; ぽた郎はイギリス系の声楽アンサンブルが好き)。さすがは Leusink の手兵,といったところでしょうか。

ちなみに難点といえば,演奏の水準ではなく,レコーディングとライナーノートにあると言えるでしょう。録音はあきらかにマルチマイクを多用しており音像が人工的で透明感がない。これは古楽器演奏としてはむしろ珍しい古典的録音と言えましょう。これは残念〜。もちろん,単にぽた郎の好みからくる感想で(ちなみにぽた郎は長岡鉄男教です(^^; ),聞き苦しいデメリットでは決してありません。ライナーノートはちょいと致命的な問題点があります。ライナーノートは500頁超で各曲の解説などは比較的わかりやすい英語で丁寧に書かれてるんでまあまあよいですが,声楽曲は対訳がまるでなく,すべてドイツ語歌詞の羅列のみ。これはツラい〜。せめて英語訳くらいは載せといてくれよ〜(x_x)。ちなみに曲の順番は脈絡がなく,BWV順でも作曲年代順でもありません。お目当ての曲が探しづらいのもやや難点か。

というわけで,多少の小さな「いちゃもん」はあるものの,これだけの水準の演奏が,他の器楽曲もおまけについて4万5千円で手に入るのであれば,文句無しでしょう! ちなみに,カンタータだけの全集も2〜3万で売られているようです。さあ,みなさまも一家に一台,Bach全集どうです?(←物欲沼へのお誘い(笑))

Category: 3. music
追記

念のため,Leusink と Netherlands Bach Coolegium についての情報をライナーノートから引用します。ご参考までに。

Pieter Jan Leusink, conductor
studied at the Zwolle Conservatory and followed masterclasses with Sir David Willcocks. With Holland Boys Choir he built up an international reputation, partly on accournt of many CD recordings, like St. Matthew Passion - J.S. Bach, Messiah - G.F. Handel, Requiem - W.A Mozart, Requiem - G. Faure, Gloria -A.Vivaldi and Stabat mater- G.B. Pergolesi. As a live conductor he created great enthusiasm at festivals in Wales, Italy, Latvia, England and France. His predilection for J.S. Bach's compositions also originate from the frequent performances of the St. Matthew Passion under his baton. His unique approach of recording CD's warrants a bright, dynamic interpretation of Bach's Cantatas.

Netherlands Bach Collegium
consists of the finest baroque specialists in Europe. With Pieter Jan Leusink conducting, the orchestra made many CD recordings, which got favourable reviews by both national and international music critics. The long experience in concert and recording practice of the various musicians with regard to baroque music, in particular Bach's compositions guarantee a characteristic performance, marked by a great sense of authenticity. This performance of the Bach Cantatas gets an extra dimension by the integral use of period instruments.

Holland Boys Choir
Holland Boys Choir was founded in 1984 by Pieter Jan Leusink, who has been its conductor ever since. For its musical home the coir has the medieval St. Nicholaschurch in the almost eight centuries old little city of Elburg. Thanks to the intensity of the rehearsals and the numerous concerts, Holland Boys Choir has acquired a unique status, both nationally and international. Besides making concert trips, among others to England (Great Cathedral Tour and St. Martin-in-the-Fields), France (Paris, Notre Dame) and Latvia (Riga Dom), the coir was also given the honour to perform for Her Majesty Queen Beatrix. The many integral performances of Bach’s St. Matthew Passion and the CD recordings of this majestic works resulted in a strong affinity with the great composer, which has led up to the largest and indeed greatest project in the history of this unique choir, the integral recordings of all the Sacred Cantatas by Johann Sebastian Bach.

オケのメンバーはこれまた知らない演奏家ばかりで(単にぽた郎が最近勉強不足なだけかも),かろうじてフラウト・トラベルソの Doretthe Janssens とナチュラル・トランペットの Susan Williams が Immaseel のオケ(Anima Eterna)で吹いてたな〜,というくらい。古楽器の世界ってオケが固定メンツじゃないので,たいていは何人かクロスで参加してたりもするんですが。若い世代のミュージシャンを集めてるのかな〜? 少なくとも Leonhardt や Bruggen, Gardiner, Koopman らのオケのメンバーとは重なっていないようです。

コメントの一覧 (7件)

よっ、呼ばれました~(笑)!我々が見ていたのも、まさに写真のやつでした。 とても丁寧な解説、有難き幸せ。貴重な情報ありがとうございまーす。
なるほどなるほど、指揮者、オケ、合唱、なんとなく雰囲気が分かりました。ふむふむ、そのような全集だったのですね。まさに、大きな教会で聞くコンサートの感じに近そうですね(演奏のむら等も含め?!)
古楽器での演奏は好きなので「よし」ですが、やはり衝撃は、声楽曲の歌詞でしょう。nur Deutscheですか・・・。我が家ではドイツ語担当の私ですが(単に二語だったから)、実はじぇんじぇんできないので、このようなものを買うと、かなり苦しい立場に追い込まれそうな予感。よく作戦を考えねば。

................. by Porepore (05/04 16:46)

う~ん、哲学書より難解、今回、ぽた子さんに一票。

................. by さわ (05/04 18:53)

今回はちょーしにのってかなりマニアックに書いてしまいました。(^^; 「全部同じ」と宣うぽた子さんも文楽を喋らせたら超マニアック。やっぱり玉男さんと玉女とはぜ〜んぜん違うんだと。人のこと言えないくせに〜。ね。

................. by ぽた郎 (05/06 19:57)

カンタータの対訳に関しては,世の中親切な方もおられまして,英文対訳や和文対訳がネット上で結構手には入ります。(ついでに版権が切れてるプライトコプフのピアノ版楽譜も。) いや〜,ええ時代や。ということで,ライナーノートについてないのは難と言えば難ですが,実はそんなに不自由はしてないのデス。対訳Webサイトのリストは後ほどアップしますね〜。

................. by ぽた郎 (05/06 20:01)

おーおーそれはありがとうございます。お時間のあるときにでもゼヒ。確かにいい時代ですねー。才能あふれる方々ありがとう。だんだん買わない理由がなくなりつつあるが・・・。やっぱり、律速段階はお金ね!

................. by Porepore (05/07 13:39)

私はTBSのPOOhという番組にレギュラー出演していた宮崎瑠依です。私の他のレギュラー出演者に白石美帆・小川奈那・藤井悠の3人と一緒に番組を進めていました。私のことよろしくね
私はヘルムートリリング監修ヘンスラーライセンス版バッハ大全集を持っています。この全集もバッハの全作品(ただし偽作は除く)が収録されていておすすめできます。確かクラシックヤマチクで38990円にて発売されています。私のおすすめCDです。    
スターダストプロモーション所属 宮崎瑠依より

................. by 宮崎瑠依 (03/11 00:48)

宮崎瑠依さん,はじめまして〜。普段テレビあんまし見ないもんで,番組知りませんでした・・・スミマセン。
ヘルムート・リリング! 懐かしいですね〜。私も高校生の時(もう20年以上前のハナシだ)聴きました。バッハ原体験かも。最近はそんなに安く出てるんですか・・・。買ってみようかな〜。

................. by ぽた郎 (03/12 01:25)
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