March 20, 2004 | 円山応挙展,もしくは混んでる美術館で愉しむ方法

東京出張のついでに,ほんのちょっとだけ時間が空いたので,ダッシュで江戸東京博物館の円山応挙展に行く。この世界では超有名とは言えたかだか日本画の展覧会なんで,閑散としてゆくり見れるやろ・・・と思いきや,入口まで行ってビックリ。なんと,長蛇の列。しかも入場制限までしてる・・・。世の中,日本画ブームなのか? たぶんテレビなどで大々的に取り上げられたのだろうが,普段テレビのない生活をしているぽた家の一員としては,この現象はまったく不可思議に映る。いにしえの日本の文化が人気のあるのは悪いことではないが,それにしてもみんな「右向け右」なのか? この老若男女入り乱れての熱狂ぶり(?)はちょっとそら恐ろしい。というわけで,今回はうっかりタイミング悪く入ってしまった混雑した美術館で,イライラせずにどう愉しむか,について書くことにする。(応挙そのものについては,スゴすぎてなかなかスグには書けんので,また今度。)

ぽた郎はいつも美術館・博物館に行くと,勝って気ままにうろうろするのが好きである。決められた順路に沿って整然と(しかも行儀良く行列に並んで!)進むのはキライ。耐えられん。もちろん,行列に割って入ったり,人混みをワザと逆流したりというようなマナーに反する行為はしないように心掛けてはいる。が,やはり,旧社会主義国の配給のようにもくもくと行列を行進する・・・なんて行為は(少なくとも美しいものを見に行く空間では)耐えられないのだ。しかし,(特に日本の美術館では多く見られる光景ではあるが)人々は絵の掲げられた壁に沿って行儀良く順序良くノロノロと行進を続けている。ま,人それぞれの見方があるから人それぞれでいいのだが。しかし,なぜ皆そろいもそろって同じ行動をするのか? やはり「右向け右」なのか? アンビリーバボー。

で,しょーがないから,混んでる美術館でなんとかイライラせずに愉しむ方法を,ぽた郎は自然のうちに身に付けました。

まず,気に入った絵(できるだけ大きな絵がよいでしょう)を見つけて,その前に陣取る。壁に貼り付いた行列の行進をジャマしないよう,数歩下がって,できれば絵全体が俯瞰できる位置まであとずさる。しばらく(かなり)じっと待つ。以上。すると・・・,分厚く垂れ込めた雲間から突如一筋の光線が差し込み,雲が切れ光のカーテンが広がる・・・かのように,一瞬人の波が途切れ,お目当ての絵が眼前に広がる。暫しの,ほんのわずかな至福の時。静謐な空間。そしてまた雲が閉じ,雑踏の現実に引き戻される。そしてまた光を待つ・・・。こういった徒労を繰り返しているうちに,たとえ同じアングルから眺めているだけでも,さまざまなディテールに気が付く。人の影によって無惨に切り取られた部分も,それが見えない故に,網膜に焼き付いた像を記憶の底から手繰り寄せ,反芻し,補完する。隠された部分がある故に,構図が色彩が質感がより鮮明になる。黙々と古代ローマの奴隷のように列をなして歩む人影を遠目に,ときおり顕現する光を愛でながら,ひとりニマニマと佇む・・・。

以上,人いきれの,雑然とした,どーにも虚しい大人気の展覧会で,なんとかかろうじて正気を保つ方法でした。・・・ってそうでもなきゃ高いカネ払って,やってられーん!てかんじですけどね。やっぱり,閑散とした静かでひんやリした美術館がいいよ〜。せめて,路地裏の迷路のようなせせこましい空間配置はやめてくれ〜!>主催者殿

Category: 4. art & craft
追記
コメントの一覧 (4件)

今夜初めてこちらの存在を知りました~。ディープだわぁ。
美術館で行列を見てしまうとその展覧会を諦めてしまうことも。
作品と非日常空間の両方に大枚はたいてるんだからねぇ。

................. by きさ (03/26 01:37)

きささん,いらっしゃいまし〜。これまで細々(密かに?)さるさる日記で貯めてたものをMovableTypeに移行してみました。まだちょっとずつ調整してる段階なので,開幕前のオープン戦,ってところですが。(^^;
そうそう。「非日常空間」。それそれ。それを求めに美術館に行くのよ〜。確かに。

................. by ぽた郎 (03/26 19:41)

ぽた郎さんこんにちは!
私も見に行きました、これ。行列ができるほど混んでたんですか!私が行った日もそれなりに混んでましたが、それほどではなかったですよ。どこかで紹介されたんですかねえ…?

それにしても、彼の描く虎は全然怖くなくって面白いですよね。小虎のはずなのに子猫にしか見えなかったです(笑)

................. by ayano (03/26 23:50)

ayanoさん,いらっしゃいませ〜。お返事お遅くなりまして恐縮デス。
応挙の描く虎は確かに猫みたいだし,龍はなんかおマヌケな顔〜,ってゆうのがワタクシも正直な印象です。リアリズムって難しいですね・・・。(なーんて不遜なこと言っちゃったりして。応挙ファンの方,すんません。)
一方,ぽた郎が非常に感銘を受けたのは「雨竹風竹図」や「氷図」です。これはスゴイ。このヒトは動物よりも植物や静物の方が存在感ありますね。いや,対象そのものというより,場の雰囲気というかなんというか。・・・と,あくまで超個人的意見。

................. by ぽた郎 (03/30 20:37)
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